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開け放たれた扉から雪が吹き込む。入口ですぐに散り散りに舞い床に落ちた。
アレクシスは、冷えた首元に口づけた。
ダニエルが震えた息を吐く。外套を羽織ったアレクシスの肩を一度掴んだが、特に抵抗もせずに手を床に落とした。
鎖骨に肩にと唇を移して行くと、血液の鉄臭い匂いを感じる。
司祭服を中衣のシャツごと大きくはだけ、肩に唇を這わせた。
血の匂いがする。出血は止まりかかっていたが、舌で舐め取ると傷口からまた少し血が滲んだ。
「弾丸は」
興奮した息を吐きながらアレクシスはそう尋ねた。
遠距離からの発砲だった。貫通していないのではないか。
同行していた同僚が撃ったものだ。適当な理由を付けて単独で追って来たが。
ダニエルは無言で左側に目線を移した。古い紙屑の散らばる床に、黒い小さなものが転がっているのに気付く。
自分で抉り出したのか。そう理解した。
肩を食み、抱き締めるようにして腰をまさぐる。
ダニエルが呻いた。
まだ血の止まり切っていなかった肩から再び赤いものが滴り、白く冷たい胸元にツッと流れる。
傷口に口づけた。端から見たら血を吸っているように見えるかもしれない。吸血鬼でもあるまいに。アレクシスは苦笑した。
禁忌の無くなった今の時代でも、さすがに手負いの司祭を犯したら地獄が待っているだろうか。
初めて関係を持った時に、誘って来たのはダニエルだった。
司祭にしては破廉恥だなと苦笑したが、むかし惹かれていた相手によく似た仕草に、ふらふらと理性が溶けた。
あれはスパイとしての「仕事」だったのか。今にして思えば、自分の好みを調べ上げられていたのか。
胸の突起を強く吸うと、ダニエルは顎を揺らし呻いた。
ベルトの留め具を外し、乱暴にスラックスを下ろす。
二十代後半という年齢の割に柔らかな大腿と膝。
中央で勃ちかけている物を握り先端を強く弄ぶと、ダニエルは初めて軽く眉を寄せた。
鼻にかかった声を漏らし、眉をきつく寄せて顔を逸らす。
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