96人が本棚に入れています
本棚に追加
/349ページ
第一章 三年前の晴れの日
車ごと誘拐され、外に出てみると三百六十度、見渡す限り森になっていた。
「え?????えええええ???」
この国に、ここまでの森があったという事も驚きだが、そこに自分がいる事も驚きだ。
「ここは、どこ????」
どこを見ても森しかなく、車の音も一切ない。せめて飛んでいる飛行機くらいは見つけたいが、それすらも無く、空っぽの青空が広がっていた。
だが、状況が悪いばかりではない。
太陽の位置と時間を確認してみると、時差はない。すると、海外に移動されているという事ではないだろう。この国で、これだけの森があるいという場所は、そう多くない。
「うん、どうにかなる」
しかし、トレーラーの天辺から周囲を見ても、あるべき筈の物が無かった。
「ん?…………道が無い????」
どうやって、ここまで来たのだろう。
「そもそも、どうして簡単に外に出られた?」
車ごと、トレーラーに乗せられ、移動中はドアを開ける事も出来なかった。
ドアの開閉もロックされていて、エンジンも掛からなければ、窓を開ける事もできなかった。それが、移動が止まった途端に、ロックが解除され、車の外に出てみると、トレーラーの扉も開いていた。
しかし、トレーラーから更に外に出てみると、そこは森の中で、しかも道が無かった。
最初のコメントを投稿しよう!