第一章 三年前の晴れの日

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第一章 三年前の晴れの日

 車ごと誘拐され、外に出てみると三百六十度、見渡す限り森になっていた。 「え?????えええええ???」  この国に、ここまでの森があったという事も驚きだが、そこに自分がいる事も驚きだ。 「ここは、どこ????」  どこを見ても森しかなく、車の音も一切ない。せめて飛んでいる飛行機くらいは見つけたいが、それすらも無く、空っぽの青空が広がっていた。   だが、状況が悪いばかりではない。  太陽の位置と時間を確認してみると、時差はない。すると、海外に移動されているという事ではないだろう。この国で、これだけの森があるいという場所は、そう多くない。 「うん、どうにかなる」  しかし、トレーラーの天辺から周囲を見ても、あるべき筈の物が無かった。 「ん?…………道が無い????」  どうやって、ここまで来たのだろう。 「そもそも、どうして簡単に外に出られた?」  車ごと、トレーラーに乗せられ、移動中はドアを開ける事も出来なかった。  ドアの開閉もロックされていて、エンジンも掛からなければ、窓を開ける事もできなかった。それが、移動が止まった途端に、ロックが解除され、車の外に出てみると、トレーラーの扉も開いていた。  しかし、トレーラーから更に外に出てみると、そこは森の中で、しかも道が無かった。
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