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イリアナが再び叫んだ。
生徒達は、教室から逃げようとした。
だが、イリアナが知れる未来はどんなに遠くても十分先まで。数秒先だけを知る事もある。今回イリアナは、数秒先の未来を知ったようだ。
教室が揺れた。衝撃が走った。そして、この世から消えた。ただの黒。ただの闇。教室があった場所だけが、真っ黒な闇になっている。
音が聞こえた。
「ずいぶん派手にやったわね」
そこに突然現れた女は、うっすらとした笑顔を浮かべている。
「俺が手加減できる奴だと思うか?」
そこに突然現れた男は、華奢な体つきをしている。いや、全てが華奢な訳ではない。右腕だけが別人のように太く、筋肉が隆起している。
「思わない」
女がにこりと笑った。
「だろ」
男も笑った。
男が顔付きを変えた。
「…ヘレイス、誰も逃げてないか?」
ヘレイスと呼ばれた女は、静かに目を閉じた。
ヘレイスが直ぐに答えた。
「誰も逃げてないわ、グロウ」
「じゃあ、行くか。未来を知れる女は消した。これで残りは、あと十人だな」
グロウが左手で右腕に触れた。その瞬間、グロウとヘレイスがその場から消えた。
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