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イリアナは息を飲んだ。ユリイの力でどれだけ守れるだろうか。その未来をイリアナはまだ知らない。イリアナは未来を選んで知る事ができないのだ。だが、絶望している暇はない。教師は自分だけなのだ。
イリアナはユリイに視線を向けた。ユリイは両手を上げて、ドームに力を注いでいる。ユリイはかなり疲労している。もう、もたないかもしれない。
イリアナは辺りを見回した。一人の生徒で視線が止まった。
「ロリア!ユリイに私達の力をあげて!」
ロリアには、人から力を吸収する力があり、それを誰かに渡す力がある。
「…はい!」
ロリアが左手を天に掲げた。その左手に吸い込まれるように、みんなの力が少しずつ集まっている。
ロリアが開いた右手をユリイに向けた。ロリアの右手からは光輝くものが出ている。その光輝くものが、みんなから吸収した力だ。
光がユリイまで届いた。青白くなっていたユリイの顔に赤みが戻った。
小さくなり始めたドームが、再び大きくなっていく。
「シェシカ!ロリアの力を倍増させて!」
イリアナが叫んだ。シェシカには、人の力を増幅させる力がある。
「はい!」
シェシカはロリアの元まで駆け出した。そして、ロリアに触れた。
ロリアの右手から出ている光の輝きが増し、色付いた。力が増した証拠だ。
「ヨルシア!シビリの力を回復して!」
イリアナのその声に反応したヨルシアは、シビリに駆け寄ると両手を差し出した。
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