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15.絵を描くのが苦手
絵を描くのが苦手である。だから、上手な絵を描ける人がうらやましい。
ペンでさらっと描くちょっとしたイラストから、絵筆を握って描く絵画やタブレットで描く絵まで、上手に描く人はすごいなあと素直に思う。自分では上手に描けないからね。
絵を描くのに必要なのは、まず技術ですね。
そればかりはしょうがない。丸をちゃんと丸に描けて、四角をしっかりとした四角に描けなければ話にならないからね。
けど、技術だけあっても良くないような気がする。たとえば、デッサン力のある絵を描ける人はたくさんいます。写真と見間違えるような写実的な絵は、ツイッターなんかでもときどきバズってるのを目にしますね。
けど、そこから一歩踏み込んで、その人にしか描けないものが込められた絵を描ける人は、一気に減ってしまうような気がする。
つまり、ピカソの絵はパッと見ただけでこれはピカソだねとわかるし、フェルメールの絵だって、ああたしかにこれはフェルメールだなぁみたいな、その人にしか描けないものが、その絵の中に宿っているかどうかという話。小説で言えば文体みたいなものだ。
つまりは写実的なデッサンを描く技術を持っていても、それ以上の自分にしか描けないものを絵の中に宿すことができるかというと、話はそう単純でなくなるわけです。そしてそれはおそらく小説でも同じなんじゃないかなあと考えているわけだ。
そう考えると、細々ながら小説を書く身としてはなかなか怖い話でもあります。技術があっても、それ以上のものを小説に宿せるかと言われると怖いよなあということですね。
誰が書いても同じような話ばかり書いてるよね、お前はまず技術の問題だろ、と言われると立つ瀬がないけどさ。
絵は描けないけど、小説なら書けるよ! と胸を張って言えるといいなあと思うよねえ。
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