20.斬新といえば斬新だけど

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20.斬新といえば斬新だけど

 みなさんは、小説のタイトルはどうやってつけてますか? あるいはどのタイミングでつけてますか?  本文に着手する前にまずタイトルを決めて、そこから本文を書く方法があります。  最初に決めたタイトルが本文を拘束するので、余計な寄り道をすることもなく小説を書けるという方法論。  一理ある話だけど、余計な寄り道こそが別の可能性を開いたり、あるいは小説を豊かにすることもあるので、わたしはこれが最適だという気はあまりしない。それで豊かな話を書ける人はそれでいいんだろうけど。  わたしの場合は、本文をみんな書き上げたあとにタイトルを考えます。  原稿をほぼ完成状態にまで持っていったあと、もう一度、誤字脱字のチェック(それでも残ったりするんですが)するときに、本文を読み返しながらタイトルに使えそうなフレーズをいくつか探し出し、そこから選ぶ方式。  選ぶ基準は、小説内容を象徴しているか、インパクトのあるフレーズか、その二点。  すぐに見つかるときもあれば、なかなか見つからないときもありますが。  それに去年の夏くらいまではわりとシンプルなタイトルにしてたんですが、最近は意図的に少し長めのフレーズにしています。  他の作品との差異化といえばそうなんですが、作品内容を象徴的に表すようにと意識して印象に残りそうなものと考えると、やや長めにならざるを得ない。  夏目漱石の『吾輩は猫である』というタイトルは、なかなか斬新ですね。小説内容を象徴し、インパクトもあるし。  そもそも主人公の猫に名前がない上に、自分には名前がないという事実、かつそんな自分の自己紹介をタイトルに持ってきている。  斬新といえば斬新だけど、素人には真似できないタイトルですね。
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