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エピローグ
アンデッド部隊の侵攻はやみ、故郷は状態に復した。
わたしは5階級特進で大佐へ一足飛びに昇進したけれども、即日退役してやった。執拗な働きかけが功を奏したのか、西園寺隊長は名誉大将として殿堂入りを果たすことになった。それですら彼女を正当に評価しているとは思えない。なんといっても渚さんが植民星を守ったのだから。
ネオ・ジャパン防衛戦終結から5年が経ったいまも、わたしはときおり空を見上げることがある。彼女とともに辛酸を舐めた日々が懐かしい。いまのわたしは生きているとは言いがたかった。ただ死んでいないだけだ。
彼女はべつの宇宙で元気にしているだろうか? それともブラックホールの強重力で紙みたいに引き伸ばされてしまったのだろうか? ブラックホールが蒸発したのはなぜなのだろう。隊長がよその宇宙から干渉したのか、それとも隊長の質量がホーキング放射を加速させたのだろうか。
どのみちこの宇宙に彼女が帰還できる可能性は限りなくゼロに近い。とはいえ方法がないわけではない。こちらから穴を空けてやればよいのだ。同じ出力、同じ加速器、同じ条件でもう一度マイクロブラックホールを作れば、あるいは……。
わたしはネオ・チャイナへの調査旅行を政府へ申請した。政府は理由も尋ねることなく、ふたつ返事で承認してくれた。国家的ヒーローの特権である。
渚さん、待っていてください。いま復活させてあげますからね。
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