07.あした色リユニオン

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手が震える。 男の人がネクタイを外す仕草って基本的にカッコいい。ネクタイを締めるところもカッコいい。ななせがネクタイを緩めたところまではめちゃくちゃセクシーで心臓に響いた。…んだけど、それを自分が外すとなると急に混乱する。 こっちを引っ張るのか、いや、こっちか。 変なところに結び目が出来て妙に固くなって。それをほどくのにめちゃくちゃ時間がかかって。もたもたしながら何とか無事に引き抜いて脳内ガッツポーズを決めたところ、 「…次、ボタンね」 ななせが私の髪をくるくる弄びながら甘い吐息で次なるミッションを課してくる。 「ボタンんん―――っ??」 「はい、どうぞ」 ななせが長い指でワイシャツのボタンを上から二つ目まで外して、悔しいくらい滑らかな素肌をのぞかせながら迫ってくる。 いやあ―――っ、眩しいっっ 眩し過ぎて目を逸らせない。 触りたい。すりすりしたい。吸い付きたい。なんか自分が変態みたいな気分になってくる。いや既に変態かもしれない。 鼻息が荒くならないようにこっそり息を止めながら、ボタンを外すべくかける指が震える。ちょっとっ、ワイシャツのボタン、小さすぎやしませんかっ!? 「…な、お前、脱がせたことあんの?」 「ないよっ! あったらこんな、苦労してないっ」 話しかけないで。手が滑るから。 「…ちょ、ななせっ」 ていうか。 我に返ると、自分だけほぼ半裸状態で、ななせの悪戯な指にあちこち触れられて、その度に堪え切れずぴくぴく揺れてしまう自分の身体の具合も気になるっていうか。 ボタンを外すたびにななせの艶肌があらわになって、なんかいろいろ高まってしまうっていうかねっ 「…ふぅん、初めてか」 やっとのことでボタンをすべて外し終えると、ちょっと嬉しそうなななせが、私の顎に指を添えてちゅっと口づけた。え、なにそれ可愛い。 「ありがと。好きに触っていいよ」 きゃああ、ご許可頂いちゃいました――――っ 本能が恥じらいをかなぐり捨てて、解き放たれた犬の勢いで、芸術的に美しいななせの肌に擦り寄った。 すごい。すべすべ。滑らか。でも適度に固くて。引き締まってる。 弾力もあって。ちょっと割れてて。心地よくドキドキする。…最高かっっ 鼻息を気にする余裕もなく触り倒していたら、ななせの笑い声が胸を通して振動してきた。 「…いや。くすぐったいっつーか、…」 ななせの手が頬を包んで、ななせの身体の上に乗りかかったまま引き上げられた。薄い肌着を挟んでななせの体温を感じる。身体がななせの肌感に擦れて甘い刺激にきゅうきゅう鳴る。 「ホント可愛いな」 楽し気な顔。優しい目。大きな手。長い指。柔らかく触れる唇。 ななせの全てが心臓を跳ね上がらせて身体を潤ませる。 「俺も触っていい?」 答える前に、身体が期待にわななく。そんなの、聞かないで欲しい。いいに決まってる。早く触って欲しい。いっぱい触って欲しい。けど、言葉にするのが恥ずかしい。 声に出来なくて、ただただ頷いた。 ななせが欲しい。 「…俺、どんな風にお前に触ってた? こう? これ気持ちいい? こうするの好き? なあ、教えて。お前これ、好きだった?」 「や、…ダメ、…むり、…っ」 ななせのどS――――っっ ななせが、一つ一つゆっくり私を辿りながら、問いかける。 手のひらで、指で、唇で、舌で。 開かれていく。あばかれていく。さらされる。全部。 優しく焦らされて。ほどけて緩んで。潤んで溢れる。 そんなの全部聞かないで欲しい。だって、… 「…聞かなくても分かるな。すげぇ、溢れてくる、…俺のこと欲しいって」 触れる手は、大好きなななせの手。 触れる唇は、甘く優しいななせの唇。 ななせだから。どんなななせでも。ななせだから。 意地悪でも優しくても私を忘れてしまっても。 「…ななせ、…なな、せ、…っ」 …別れを決めているとしても。 「…うん」 幾度となく溶かされて絡めとられてかき混ぜられて震えて弾ける。 いつの間にか身に纏うものは何もなく、素肌の一番近くにななせがいる。 初めての時を思い出した。 ななせを好きな自覚がなくて。好きでいてくれたことも知らなくて。それでも、狂おしいほど、ななせに感じて。ななせを求めた。 「な、…なせ、…っ」 ななせが欲しくて欲しくて。弾けても弾けても足りなくて。身体の全てで必死にねだる私を、ななせがゆっくり満たしていく。 「…ありがとう、つぼみ。俺を受け入れてくれて」 歓喜の波に立て続けに襲われて、快感で真っ白に弾け飛んで、強烈な絶頂感に自分が砕け散って、耳元でささやかれたななせの声は、よく聞こえなかった。
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