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好きな人がいる。
しかし、その好きな人には既に彼女がいる。
……私は……自問自答する。
あんなにも仲が良さそうな彼女がいるのに、私が入り込む隙なんてまるっきり無さそうなのに。
それでも、私は彼を思い続けるのか? この恋が叶う見込みなんて、きっとないのに。
……だけど、彼を好きだと思う気持ちだけは、彼の彼女にだって負けてなんかいない……!
『好きだ』
そんな際に、幼馴染から突きつけられた言葉。
……なんで? なんで、今……?
私には、好きな人がいるって言ってるのに。 私が彼女のいる彼を思うことなんて、無駄だと言いたいの?
無口でツンツンしてて、顔だってお世辞でもカッコイイとは言えないあんたとは違う。 彼を見ていると、胸が高鳴って心踊る。 あんたに、そんな感情を抱いたことはない。
『私は、山本くんが好きなの。 知ってるくせに』
『……あいつ、彼女だっているのに?』
『そういう問題じゃないの! 私は……山本くんが好きなの!』
……私が山本くんを好きなのは、いわばアイドルに憧れる少女のような心理で。 この思いが届けば嬉しいが、届くことはないということは心のどこかで分かっている。 それでも。
『私が好きなのは、山本くんなの……!』
この幼馴染の前では、そこは譲れない。
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