見守られて

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『 飲みたい気分だから、付き合えよ』 『 嫌だ。全然楽しく飲める気分じゃないもん』 『加納の気分なんか、どうでもいい。いいから、行くぞ』 強引に連れていかれた。 そして、興味のない話を聞かされる……ううん、普段の私なら興味津々で聞く話だった。 でも、この日は無理だった。何の話をされても、右から左へと流れていった。 熊野は全然話を聞かない私に呆れて、大きなため息をついた。 『結婚するヤツのことなんか、考えるな』 『わかっているけど、わかっているけどね、ずっと好きだったから』 『結婚したら、さすがに諦められるだろ?』 『うん、そうだね。きっと時間が経てば、好きじゃなくなると思う』 でも、黒瀬さんが結婚して一年経っても私はまだ片想いしている。 なんでこんなにも諦められないのだろうと自分に嫌気がさしてしまう。 ほぼ毎日顔を見ているからなんだろうな。 好きな人の顔は、見られるだけで嬉しいし、元気になれる。 活力源なのだ。 仕事に悪い影響を与えなければ、想っていてもいいよね? 今日も私はこっそりと想い人を眺めた。
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