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頬を膨らませたままじっとりと見上げると、彼は「ははっ、無粋で悪いな」と楽しげに笑った。
くっ、悔しかぁ~!なんねそれ、その笑顔!腹黒ヘタレのくせばしよって…!
そんな無邪気な笑顔を見せられたら、文句を言うことなんて出来なくなるじゃない。
さっきまでの仄暗い気持ちが、一気にギュンと上を向いた。
だけど―――。
「ところで、静川はどうだった?また今年もこのイベントはスルーだったのか?」
彼が訊ねたその言葉に、あたしの気持ちは真っ逆さま。上空千メートルから地上に落下―――どころか、そのまま地下千メートルくらいまでのめり込みそう。
そ、そんなこと……自分で訊けばよかろうもんっ!
そう言いたいのをグッと堪えて、「静さんはぁ相変わらずですぅ」と軽く返しておく。
なにが悲しくて、恋敵の情報なんて教えないといけないのだろう。
今となってはそう思うけれど、仕方ない。
だってそれが、あたしと彼の間に結ばれた“協定”なのだから―――。
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