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静さんはバリバリ仕事ができる。
アテンドの内容の多様性や臨機応変さはもちろんのこと、外国人のお客さまへの対応も完璧。
留学経験があるから英会話は朝飯前で、中国語も日常会話レベルは余裕。そのほかの外国語もアテンドに必要な会話は覚えているようだ。
静さんの仕事ぶりはそれだけじゃない。ツアーアテンドの業務以外にも、ツアー参加者用の売店の販売計画も進んで立てるし、残業も厭わない―――というか、むしろ進んで引き受けている。
あれじゃあ、“お局さま”通り越してぇ、もはや完璧に“仕事の鬼”ですぅ。
つい先日なんて、社内コンペ大会の関西予選に通過して、グループ本社での“最終決戦”に乗り込むことが決まったのだ。
そんな静さんに、あたしなんかが逆立ちしたって敵うはずない。
その静さんを見送ったあと、あたしと課長は電車に乗り、あたしの最寄り駅で下車。
遅い時間だということもあって、自宅の前まで送り届けてくれるという彼と、駅から十分ちょっとの道のりを歩いた。
街灯が照らす路地を二人で黙ったまま歩いているうちに、あたしはいつの間にか隣を歩く“胡散臭い”上司のことを考えていた。
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