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課長の公休日を挟んでその翌日。
今度は静さんが公休日で居ないせいで、あたしは彼を避けるのにものすごいエネルギーを費やした。
静さんったら肝心な時にお休みやなんて…!
そんな、静さんが聞いたら絶対怒るだろう文句を唱えつつ、なるべく他のアテンド仲間に紛れて過ごしていた。
それなのにっ…!
なぜか事あるごとに彼のほうから近づいてくる。
あたしはそのたびに、『お化粧直しせな!』とか『あっ!忘れ物がっ!』とか言って必死に逃げた。
ここまであからさまに避けられているのだから、いいかげん諦めてくれてもよさそうやのに!
我ながら大根役者もええとこやわぁと思うけど、あんな顔して近づいてくるほうが悪い。
いつもの“胡散臭い笑み”でもなく、“上司然”とした顔でもなく、少し不安そうにこちらをうかがう様に見てくるのだ。
もう、ちょっとっ!あの“腹黒仮面”は、いったいどこに置いてきはったんですかぁ…!?
そんなの見る人が見ればすぐに分かってしまうやないの…!
あたしはこれまでとはちがう彼の態度に違和感を覚えつつも、『今彼に捕まってはいけない』とビシバシ訴えてくる“勘”に従って、必死に彼を避けながら過ごしていた。
―――のだけれど。
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