森 希々花はいつも二番手***

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あたしには年子の姉がいる。 生まれた時から、両親にとっての一番は姉。 いつだってあたしはお姉ちゃんと比べられてきた。 お姉ちゃんはあたしなんかよりずっと頭が良くて真面目。県内トップクラスの高校に進学して、家から通える国立大学にストレートで合格。 あたしと違って大きな反抗期も無くて、両親からの信頼も厚い。 あたしが彼女を抜かせたものと言えば、身長くらい。 だからって、プラス十センチもなくて良かったのに…!(それなのにバストサイズは負けてるって……泣) でも、そんなお姉ちゃんが居たからこそ、あたしは関西の女子大に行かせてもらうことが出来たんだ。 期待の薄い”二番手”じゃなかったら、きっと地元から出してもらうなんて不可能だった。 あたしと違って“一番手(おねえちゃん)”はとっても優秀で、とっても“いい子ちゃん”だから。 九州は福岡――博多にある実家は大正時代から続く料亭を営んでいる。いわゆる『老舗料亭』ってやつ。 その一世紀もの間続く【森乃や(もりのや)】の五代目に、両親はあたしかお姉ちゃんに婿を取らせて跡を継がせようと目論んでいるらしい。 でも、ほら。あたしは“二番手”だから? 両親としては優秀な姉に跡を取らせたいに決まってる。だからあたしが家から出ることを渋々ながら許してくれたんだって。自分は“蚊帳の外”なんだ。 ―――そう思っていた。 すっかり自由の身気分のあたしは、花のキャンパスライフを関西で満喫していた。 だけど―――あたしの平穏な日常は、ある日突然終わることになる。 天変地異が訪れたのだ。 お姉ちゃん(いちばんて)海外逃亡(たかとび)しやがった…!
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