森 希々花はいつも二番手***

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それなのに、なんでこんな(なしてこげん)ことになってしまったの(しもぉたん)!? “セフレ”なんて、“二番手”よりもっとたちが悪いっちゃけど…! 「何を考えてるんだ?」 彼が下からあたしの顔をのぞき込んできた。至近距離で見る綺麗なアーモンドアイに、うっとりと酔いしれそうになる。 ダメっ希々花(ののか)、見惚れとぉ思われるったい…! あたしは骨ばった肩に乗せていた両手を彼の首に回して抱き着くと、すぐ目の前にある耳に唇を寄せた。 「べつに、なぁんも?」 甘えた声を出し、ねだるように腰を前後に揺らす。 あたしの欲しいものなんて分かっているくせに、彼はまだそれをくれない。 「本命のヤツのことか?」 「本命……」 「本番の明日は、そいつにやるんだろ?チョコを」 “明日”って……さっき自分で『もう今日か』って言ったくせに。 わざわざ日付が変わるのを待って、“今日”チョコを渡したのに、そんなことにも気付いてもらえない。 それはきっとあたしが“二番手以下(セフレ)”だから。 「そんなぁん……、課長にはぁ、どうでもええことやないんですかぁ?」 「まあな。俺にはおまえの賭けを邪魔するつもりはない。最初からそういう約束だろ?」 「………」 あたしが黙ると、彼は小さな四角い包みを破いて、中から取り出したものを(たけ)る自身に被せ、あたしを背中からベッドに押し倒した。
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