「魔法使いの店」

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 「全く、お前は謝るしか脳がないの?いつになったらミスをしなくなるのよ。うちで飼ってやってた時からそう。よくもまあ、私もこんな役立たずの小娘を世話してやってるものね。」  それを聞いた瞬間、考えるよりも先に僕の体は動いた。でも、そんな僕の前にアリシアは腕を広げ、地に頭をつけたまま僕を止めた。  だめ。  そう、無言の圧をかけられているとわかった。  「今日のところは許してやるわ。でも次はないからね。」  僕の険しい表情に気づくこともなく女はそういって、耳障りな固い足音を鳴らしながら厨房を出て行った。僕はこの怒りを必死に押さえるのに必死だった。アリシアはひたすらに、床に頭をつけていた。
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