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指輪をはめると
私のシワシワの指は
ツルツルした娘の手に戻っている。
車窓に映った顔も
丸いほっぺたの19歳。
長い黒髪、金のモールの水兵帽。
ケッコンしよう、もう一度
ウン。
繋いだ手を
彼のチャコールグレーのコートの
大きなポケットにしまい込み
懐かしい匂いの肩に頭をもたれさせると
私はすっかり安心して
深く長い息を吐いた。
バスは大橋の停留所を過ぎ
246に合流した。
キラキラキラ
キラキラキラ
星みたい
星だよ星
「天の河」経由だから
本当にそれは星たちで
バスは夜空を飛んでいた。
会えた、また会えた。
約束したろ
渋谷24系最終便だって。
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