渋谷24系 最終便🌟 80 ’ バレンタイン❤️スペシャル短編

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バスは大橋で大きくハンドルを切って スピードを上げると もう一段、ふわりと浮き上がった。 渋谷の空を旋回している。 天の川みたいにキラキラ流れる246 ダイヤのネックレスみたいな東名 四方に広がる坂に 光をまとった街路樹が 真珠のように輝いて ルビー、エメラルド、ファイヤーオパール 色とりどりのビルの灯り、ネオンサイン 窓にオデコをくっつけて 深いサファイヤ色の冬の空を見下ろすと 屑ダイヤたちに包まれた。 雪! 寒いはずだね… 彼のコートのポケットの中 繋いだ手をぎゅっと 握り合った。 点滅する三軒茶屋の靴屋の看板を過ぎて 家具屋のショーウィンドーに クラシックな飾り棚が見えた。 あれは、いつか あなたが担いで運んでくれたの、あたしの部屋に ばかだね、おれ 乱反射するガラス張りのビルが だんだん遠くに霞んでゆく。 宝石箱をひっくり返したような 夜の渋谷に別れを告げて とうとうバスは天の川に突入した。 夜空を登ってゆく終バスの両側を 天の川の星たちがキラキラキラキラ キラメキながら流れてゆく。 私は彼の肩に頭を持たせて 暖かいバスの座席に身を沈めて目を閉じた。 目を閉じてもキラキラは止まらなかった。 おわり🌟
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