If...もしも 贖罪 ⑥

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If...もしも 贖罪 ⑥

 翌日は、よく晴れた。 青空が抜けてしまうのではないかと思うほどの晴天。 瑞樹は、万が一に備え芽生の着替えを持ち、俺たちは北鎌倉の月影寺へ向かった。 「宗吾、早かったな」副住職の流が出迎えてくれた。 「久しぶり。急に悪かったな」 「いや、今日でよかった。最近の檀家さんどこも代替りしていてさ、お日柄とかも見ているみたいで、今日は何と無く避けてくれる日みたいなんだよ」と言ってくれて安心した。 「瑞樹君!久しぶり」 「洋君!」 瑞樹と洋君の可愛い笑顔が見えた。 思わず宗吾は、口を押さえた。 うんうん、百合と蘭の花の共演で薔薇になったって感じだな。 一人顔を崩しそうになる。 洋君は、芽生にも話しかける 「芽生君も久しぶりだね。小学生になったんだよね?」 「はい、こんにちは。滝沢芽生です。1年1組です」 芽生の元気な挨拶で皆の顔に笑みがこぼれた。 流に目配せをすると、洋君が即座に気が付き 「瑞樹くん、今日は、翠兄さんと写経をするんだよね?本堂で支度しているから行こう。芽生君も行こう」 「じゃあ、宗吾さん行って来ますね」 「パパ~いってきま~す」 「おう!きれいに書けたら見せてくれよ~」後ろ姿を見送った。 流が離れの丈くんの家に入れてくれた。 「丈君、急に悪いね」 「いえ、何だか大変な事が起きているんですか?」 「ああ、まあ…」 2022年1月13日
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