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3 大震災
平成23年3月11日。
大学はすでに休みに入っていて、貴史は仙石線沿線のバイト先の店にいた。
異様に長い揺れがようやく収まった。
貴史は、割れたガラスで手を切って動転している女性スタッフを放っておくわけにいかず、食器や器具、食材などが散乱した厨房の奥にある休憩室から救急箱を探してきて、傷の応急手当てをした。
そこに、ちょうど休憩時間に入って出かけていて急ぎ戻ってきた店長がスタッフを集めて、今日は店を閉めるしかない、みんな今日のところは帰っていいよと言った。
しかし、どうせ電車も止まっているだろうから、落ち着くまでもう少しここで様子を見てから動こうと、バイトに貴史を誘い、その日も一緒のシフトに入っていた悠介と話していたところに、地響きにも似た低い音がどこからともなく聞こえてきた。
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