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4 クラス会
クラス会の日。
美沙紀は、級友たちの変わらない顔を見て、そして明るく振る舞う男子の無鉄砲さやあどけなさに、やっぱり来てみてよかった、みんな辛い思いや苦しい経験をしているはずなのに、懸命に今を生きようとしているんだと、少し安らぎを覚えた。
それでも、どこか無理をして気を張っていた美沙紀は、一息つこうとロビーに出てソファに腰を下ろした。
窓から差し込む太陽の光が眩しいなと感じて目を伏せたその時に、「ちょっといい」と誰かが声をかけてきた。
顔を上げると、前に立っていた声の主は、クラス会に出席していた青木誠也だった。
誠也は、少し辺りの様子を窺うような仕草をしたが、またすぐ美沙紀の方に視線を戻すと、小さな声で告げた。
「今だから思い切って言う。君に付き合っている人がいることは知っていた。でも、ずっと君のことが好きだった」
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