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部屋には、普段着に近い思い思いの服装に身を包んで、くつろいだ様子で会話を交わす人たちがいた。東日本大震災で被災し、今はこちらにいる同郷の人たちだった。
「確かに少なくなっちゃった気がする。あれからもう10年が経ってしまったからなあ」
「そうだな。初めの頃はこのホールに入りきれないくらい、百人以上はいたかな。それが、今は三十数人ってとこか」
「だんだんあちらに戻っていって、残っている僕たちの方が少なくなってしまったわけだ」
あの震災の後、こうして一年ごとの節目の日に集まる『同郷会』が開かれるようになって、今回が10回目になる。
貴史は、柔らかい光で部屋を満たしている天井の白い照明を仰いで、昨日のようで遠くなったあの日に思いを馳せた。
そのとき、二人に男性が近寄ってくると、「こんにちは」と話しかけてきた。
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