復活の魔王

4/4
前へ
/4ページ
次へ
ーーー吾輩は、かつてこの世を恐怖に突き落とす魔王だった。 だが吾輩は生まれ変わった。 「ああ、ついに。復活なさった」 ゲボクーよ。お前には感謝せねばならない。 この世に生きる物全てに、この暖かな気持ちを届ける事が、吾輩の新たな使命。お前から学んだ事だ。 「いいえ。私はただのうさぎです。魔王様、これからどうするのですか?」 西へ行く。それに、吾輩はもう魔王ではない。 「では、何とお呼びしたら?」 吾輩の名は、 ビリケンだ。 「その名前は使えません!」 え? ダメなの? 「既存の名前なので。少し重たいですが、西の町までお連れしましょう。きっと、誰かの役に立つかもしれません」 意味深だな。 「魔王よ! 討ち取りに来たぞ!」 何でこのタイミングで勇者! ちょっと待て! 色々状況が変わったから! 1回待て! な?! 「魔王よ! 我々は勇者と共にこの地に平和をもたらしに来たのだ!」 あ、あんた勇者じゃないんだ。そっか勇者寡黙だもんね。あっちでもじもじしてる奴だろ? てか魔王じゃないんだよ吾輩! 聞いて! 生まれ変わったの! 「魔王よ! どこにおるのだ?!」 ここにいるよ! 目の前だよ! 「うーん、どこにもいない。留守と見せかけて我々を騙し討ちする気か?」 騙してない騙してない! 今さっき神様になったの! 正確には何か神様的な暖かみのある何かに。 「勇者様、野うさぎの足元にこんな物が落ちていました」 あれ? 「勇者様、これはとても暖かい。今時期には丁度いい」 あ、これあれだ。俺、あれだ。 カイロだ! 俺はカイロだ! 神じゃない、暖かいカイロだ! 「……暖かい」 勇者喋った。あーもう、……使ってくれ。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加