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点滴室は十人以上入れそうな大きな部屋だった。凌也は玲香に言う。
「ミネラルウォーターを買ってきてもらえないかな。アルコールが切れたら喉が渇いた」
「はい。一本でいいですか?」
「ああ」
「コンビニでストローも買って来ますね」
「ああ、そうか、この顎では飲めない」
本当に気の利くアンドロイドだ。それにしても、今日は高級車でドライブしてイルミネーションを観てスイートルームで豪華な夜を過ごす筈だったのにとんだことになった。玲香に悪いことをした。年が明けたらまたレンタルして埋め合わせをしてあげよう。アンドロイドだから精密機器の工場見学なんか興味があったらいい。凌也の得意分野だ。玲香とはこれで終わりにしたくない。優秀なアンドロイドとして。
玲香からミネラルウォーターを受け取ると喉を潤した。目を瞑ってじっとしていると眠ってしまった。起きてスマホを見ると七時だった。
玲香と点滴室を出て会計に向かう。「あ」という聞き覚えのある声が聞こえた。横を向くと光が立っていた。
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