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「光、ここの病院だったのか」
「うん、凌也どうしたの? 顎」
「バスルームで転んだんだ。救急で診てもらったんだよ。光こそ身体は大丈夫か?」
「私の場合は病気の中でも比較的、軽度みたいなの。普通だったら小さいときに発症していたって」
「じゃあ心配ないのかな?」
「検査しないと分からない。それより彼女さん、自分でいうのも変だけど私にそっくり」
光は可笑しいみたいで目を細めて笑った。
「この人は、玲香といってアンドロイドなんだ。君に振られて落ち込んでいるときにアンドロイドのレンタル屋を見つけてね。その中に光そっくりなアンドロイドを見つけたんだよ」
玲香はハンドバックからUSBを取り出した。光の手に握らせる。
「これ、私が見た視線の凌也の姿です。貴女が好きだと泣いている姿もあります。光さん、自分の病気のことなんか気にせずに凌也とやり直したらどうですか?」
「でも私の病気は子供に遺伝する確率が……」
凌也は光を抱きしめた。自分でもびっくりした。
「そんなこと気にするな。結婚しよう。光以外は考えられない」
思わずプロポーズをしてしまった。鼓動が早くなる。胸の中で光が頷いた。玲香が「おめでとう」と言った。
「おめでとうございます。また何かございましたらレンタルください。私は加山に迎えに来てもらいますね」
胸の中で光が泣いているのが分かった。
終わり。
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