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それにしても玲香は振られた彼女によく似ていた。背は玲香の方が高いし、目鼻立ちも整っているのは玲香だが、垂れ目の大きな目やアヒルみたいに口角のあがった口は双子のようだ。玲香は付き合っていた彼女をモデルに作ったのではないか。そう勘違いしてしまう。
レンタカー屋で国産の大き目なセダンを借りた。色は白だ。都内に住んでいるし、会社も駅の近くなので車は持っていない。運転するのも久しぶりだ。変に緊張しながら車をマンションの前に停めると玲香を迎えに行く。玲香は大人しくソファで音楽を聴いていた。
「車を借りたよ。イルミネーションを観に行こう」
「はい。私、イルミネーションを観るのは初めて」
「東北自動車道で行くけど安全運転で行くから心配しないで」
玲香は嬉しそうに頷くとチェスターコートを羽織って大き目のハンドバックを持った。凌也が何が入っているのか訊くと「充電器です」と返ってきた。凌也は加山が言っていたことを思い返す。腰のあたりに充電口があると言っていた。
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