秘密はUSBで

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 一階に降りて道路に出る。キーレスで鍵を開けて助手席のドアを開けた。玲香はコートを後部座席に置いて助手席に腰掛けた。凌也はドアを閉めて運転席側に回る。これからデートだと思うとドキドする。どんな会話をしてイルミネーションパークまで行こうか。 「着くまで一時間半くらい掛かるんだ。また洋楽でいいかな」 「はい。英語は私、解りますから」  東北自動車道を走る。別れた彼女とは春に付き合い始めて秋には別れたからクリスマスやお正月は一緒に過ごしてない。クリスマスはもう終わっているから玲香に予約が入っていなかったらお正月もレンタルしたい。初日の出を一緒に見たいな。凌也が色々と考えながら運転していると玲香が「なにを考えているのですか?」と訊いて来た。 「玲香がお正月空いているのか気になったんだ」 「二日と三日は予約が入っていますよ」 「じゃあ一日(ついたち)は?」 「大晦日と一日はレンタル店が休みなんです」  一番儲かりそうな日が休みだとは。でも加山みたいな従業員も休みが欲しいのだろう。初日の出は諦めるしかなない。  東北自動車道を降りて国道を走る。ナビによればもうすぐの筈だ。凌也は洋楽を口ずさんだ。右手にネオンが見えてくるとナビが案内を終了した。駐車場に車を停める。 「着いたよ。思っていたより混んでいるな」 「はい。逸れないか不安です」  凌也は玲香の手を握った。ひんやりと冷たかったが柔らかかった。  ここはフラワーパークで冬の間だけイルミネーションが飾られているようだ。横浜で生まれて東京で育った凌也は栃木県に来たのは二度目だ。一度は仕事の関係で精密機器の打ち合わせで来た。栃木には下請けの工場がある。
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