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イルミネーションパークの光のトンネルを抜けるとイルミネーションがこれでもかというほどに散りばめられておりまるで光の国に来たようだった。玲香はアンドロイドだから感動しないと思っていたら目を潤ませてパークを観ていた。
「綺麗だな。玲香はこういうの初めてなんだろ?」
「はい。私は製造されて半年なんです。主にお手伝い代わりや、病人の介護にしか使われていません」
「そうか。今日みたいに彼女代わりは初めてか?」
「はい。失礼ですが凌也は人間の彼女はいないのですか?」
「振られたんだ。顔に問題があるのか性格に問題があるのか分からない」
そうだ。せめて理由を言ってほしかった。顔だって自分では悪くないと思っているし、洋服は派手ではないブランドだ。性格は優しいと小さいときから言われている。敢えて自分で欠点だと思えるのは仕事の話題くらいしかできないことだ。機械設計の話をされても彼女はつまらないだけだっただろう。
「凌也はその人のこと本気で好きだったんですか?」
なぜ玲香はそんなことを訊くのだろう。本気に決まっている。まだ付き合いは短かったが結婚という言葉も浮かんでいたほどだ。凌也は玲香の目を見て頷いた。
一時間半ほどパークを見て帰路に就いた。東北自動車道から首都高に乗る。玲香がアンドロイドでなかったらディナーでも食べたかったのだがこればかりは仕方ない。コンビニを見つけたらパンでも買って腹にいれようと思った。
首都高を降りて三分ほどのところにコンビニがあった。凌也は一番高い赤ワインとサンドイッチにチーズを買う。玲香にも一応欲しいものはないか訊いたがやはり何もないようだった。
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