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凌也はワインクーラーからワインを取った。玲香が慌てて手伝いをする。手が触れ合ったとき涙が零れた。自分は光が好きだ。華奢な体や大きな目、優しい口調や、可愛い仕草。
グラスに玲香がワインを注ぐ。凌也が飲んでいると玲香がバッグからUSBメモリを取り出した。
「ここに今日行ったイルミネーションパークの画像を取り込みます」
どういうことだろうと思っていると玲香は袖を捲り上げ腕の部分にある蓋を開けてUSBメモリを差し込んだ。
「ここには私の視線の画像しか写っていませんよ。だから私は写ってないってことです。アンドロイドが撮影した証明書もつけますので光さんに送ったらどうですか?」
「いや、いいんだ。気もちは嬉しいが僕は振られたことに変わりないんだから」
「光という名前が好きでイルミネーションを観に行ったんでしょう」
凌也は項垂れた。二、三分じっとしたあとグラスに入ったワインを飲み干す。早めに飲み終わらないと明日に残る。チーズを口に入れ溶かすように食べた。涙はもう止まっていた。
飲み終わると少し足に来た。トイレに行くのもふらふらだ。だが湯舟には浸かりたい。温度を熱めにセットしてお湯を溜める。玲香には充電するようにと言ってお風呂に入った。
酔ってお風呂に入ったらいけないと気づいたのは身体を洗っている最中に転んでからだ。酷く顎を打ち付けた。痛さのあまり浴室で寝ていると玲香の呼ぶ声が聞こえた。凌也は大声で返事をしてシャワーで泡を流す。バスローブを着て洗面所で顔を見た。顎が二倍くらいに赤く腫れている。それにずきずきと痛い。
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