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「ありがとう」とか「愛してる」とか言えばよかったかな。でもいつもあなたが先に気障なセリフを言ってくるから、だから僕は何も言えなくなるんだよ。
まつげが長いな。そして鼻が高い。洗ったままの髪がばさばさだね。あの切れ長の目が隠れている今は、なんとなく幼く見えるような気がするよ。
そうだなあ。今から僕が10数える間にあなたが目を開けたら、「愛してる」って言ってあげてもいいけれど。
──いち、に、さん。
でも、よく眠ってるからそれは無理だね。
──し、ご、ろく。
うん。寝顔も男らしくて、すごく素敵だ。
──なな、はち。
ふっ、とあなたが目を開けた。思わず固まった僕を見て、にっこりと笑う。
「なにしてるの?」
「あ……あなたを見てた」
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