14人が本棚に入れています
本棚に追加
スロウダンス
あなたの指が僕の指先に触れて、指に触れて、手首に触れて、そして肘に触れて。
そんな風に優しくあなたが僕の心にも触れてくる。
「息をして」と囁かれて初めて、自分が思いきり呼吸を止めていたことに気づく。
言われたように大きく息を吐いて、「なんでいつまでもこんなに恋することに不器用なんだろう」そんなことをちらりと思ったら、かすかにあなたが笑った。
「なんで笑うの?」
「いや」
「ねえ、なんで笑ったの?」
「いや、可愛いなって思って」
「なにそれ?可愛くないからね」
ちょっとむきになる僕を「はいはいわかったから」となだめて、やっぱりあなたは少しだけ笑う。
「わかったからもう黙ってて」
最初のコメントを投稿しよう!