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地母神マイラーは農業を司る神として有名だ。
だが死を司る神としての一面もある。
すべてのものは死んだら土に還る。
母なる大地マイラーの懐に還るのだ。
死者を正しくマイラーの懐に帰すのも、マイラーを崇める司祭の勤めとされていた。
昨夜、ゴードン司祭は骸骨たちを成仏させるためにあそこで儀式を行っていた。
そこにベルモアが乱入して来てしまったのだ。
儀式は中断された。
ゴードン司祭は骸骨たちが入って来られないように結界を施した魔法陣の中にベルモアを入れ、骸骨たちが立ち去る朝まで応急処置をしてくれたらしい。
「じゃあ、俺は邪魔しちゃっただけってことか?」
「まあ、そういうことになりますね」
「う……」
はっきり言われてベルモアは言葉に詰まった。
だがゴードン司祭は慌てて取り繕うように言い足した。
「あ、いえいえ、でもどっちにしても儀式はうまくいきませんでしたし」
「どういうことだ?」
「あの骸骨の魔物たちは現世で未練を残して死んでいった者たちです。死の受け入れを拒んで抵抗していました。あのまま続けていても、結界を破壊されて儀式は失敗していたでしょう」
「そうか……。しかしあれだけの数の骸骨はいったいどこから? それにどんな未練があったっていうんだ?」
「それは冒険者だったあなたの方がよく分かってるはずです」
「なに?」
「あの骸骨の魔物たちはダンジョンで死んだ冒険者たちです」
「え……?!」
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