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このままではやられる!
まさか俺はこんなところで死ぬのか?
冒険者として魔王の地下ダンジョンに挑み、地下350階までを制覇し、魔王の元まであと一歩だったこの俺が……!
ベルモアは悔やむ。
だがすぐに自嘲気味にふっと笑ってしまった。
ダンジョンの地下何階までクリアしたかなんて、冒険者同士にしか分からない基準だ。
そんな基準に俺はいつまでこだわっているんだ。
他人から見たら地下20階までも地下350階までも、魔王を倒し、姫を救い出せなかったことに変わりはない。
どちらも『勇者』にはなれなかったのだ。
もういい、好きにしろ……。
剣を振るう手を止め、ベルモアは半ば投げやりに近くにあった木の幹に背中を預けた。
骸骨たちが近づいてくるが逃げない。
その斬撃を受け入れようと、ベルモアはゆっくりと目を閉じだ。
そのときーー
「ん……?」
ベルモアの耳に歌声のようなものが聞こえてきた。
不思議な抑揚がついている。優しく包み込むような声だった。
なんだろう?
あの世から迎えに来た天使の歌声か?
それにしてはなんだか、これは……。
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