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3.
「魔王が・・・復活!?」
ダスクとデイブの絶叫は、粉々になった聖者の撤去作業の騒音にかき消されたが、セトの取り戻した記憶によって彼らふたりは凍りつきそうであった。
少し前に教会の大掃除をしていたダスクとデイブが謎の封印をちょっぴり解いてしまう事件があったのだ。
あのとき出てきた悪魔っぽいのがいったい何者なのか、ふたりはずっと気にしていたのだが、アレがまさか200年ぶりに復活する魔王だったというのか?
「なんとしても魔王の復活は食い止めなければなりません」
セトは真剣な眼差しでそびえ立つ巨大兵士ゴンデムを見つめた。
「この前ボクの勘違いで大事な石像を壊してしまいました」
「ああ、いいぜ。気にするな」
今のデイブにはおっさんの像の話など どうでもよかった。
「本来ならゴンデムは危険な兵器とみなされて、それに乗るなど許されるハズもありません。
しかし、魔王の復活を食い止めるためであれば、と。
ゴンデムに乗ることが許されたんです」
「なるほど。 魔王と戦うため、か」
ダスクとデイブは深くうなずいた。
「いえ、魔王の恐ろしさはイヤというほど味わいました」
セトはうつむきながら首を横にふった。
「預言では何者かが魔王をを復活させると言われていました。
その者を探し出して、なんとしても復活を阻止しなければなりません」
「阻止?」
「必要があればゴンデムの力を使ってでも・・・」
「な、なんか物騒な話になってきたね」
ダスクとデイブは顔を見合せて額の汗をぬぐった。
魔王の復活に関わっているのは自分たちなのだ。このままではあのとげとげの鉄球の餌食になってしまう。
「ふ、復活させる前なら、犯人を捕まえるだけでいいんじゃない?」
ダスクはひきつった笑顔でセトをたしなめようとしたがムダであった。
「いえ、戦いとはいつも二手三手先を考えて行うものです。
『悪 即 斬』
ほんのささいな兆しであっても、全力でそれを潰します!」
セトの瞳の奥には魔王と戦っていたころの闘志の炎が燃えていた。
ダスクとデイブの瞳にはうっすら涙が浮かんでいた。
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