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「魔王の封印が解かれる前に犯人を見つけなければなりません。
事件は起きてからじゃ遅いんです!」
話の核心中の核心がポロっと本人のいる前に出てきてしまった。
「魔王の封印? 復活? どういうことだ?」
悪魔は怪訝そうな顔でセトに詰め寄った。
「あー! ほら、
UFOじゃなくてスーパーマンかなー?」
デイブはいちおう注意をそらそうとしてみた。
「かつて世界を滅ぼしかけた魔王ルマンドです」
「ルマンド?」
悪魔は数秒目を見開いたあと、小刻みに肩を震わせた。
「ふ、ふはっ
ぎゃはははは!!!!」
悪魔は身をよじり笑い転げた。
「ル、ルマンドが
魔王!?
バカ野郎、笑わせんじゃねえ!
あー、腹痛え・・・」
涙をふきながら立ち上がった悪魔は膝に手をつき、呼吸を整えながら続けた。
「魔王がわざわざこっちの世界まで来て封印されるとか、
そんな間抜けのワケがあるか!」
ダスク・デイブ・セト三人は口を丸く開けてポカンとしたままだ。
「ルマンドってのは、単なる下っぱだ。
あのクズ野郎、人間の世界で何かやろうとしてしくじったのか。
安定のバカだな」
「ルマンドを知ってるんてすか?」
セトは驚きを隠せない。かつて自分たちの世界を恐怖におとしいれた魔王がバカ呼ばわりされているのだ。
「まあ、知り合いっつーかな。
たいした仲でもねえよ」
「まさか、あんたが魔王・・・?」
タスクとデイブはてっきり魔王を復活させたと思っていたのだ。
「けっけっけっ
そう見えるか?」
悪魔は顔をこすってまんざらでもない様子だ。
「まあ、実質魔王と言っても過言じゃねえがな。
大魔道士ルフォートって、聞いたことあんだろ?」
三人は顔を見合わせるだけであった。
「・・・知らねえのか?
ったく、バカの寄せ集めだな、お前ら」
機嫌を損ねた悪魔はくるりと背を向けた。
「まあいいや。
いいこと聞いたぜ。ルマンドのバカは封印中か。
こりゃ急ぎで魔界に戻らないとな」
そう言うと、魔道士ルフォートは足元に魔方陣を出現させ、ミミズのようなモンスターを呼び寄せた。
「じゃあな。
橋に看板立てるの忘れるんじゃねーぞ」
ミミズのモンスターはパクリを悪魔を飲み込むと、そのまま魔法陣の中へと潜って消えてしまった。
「戻って今の話、整理すっか」
しばらく止まっていた時間が、デイブのひと言で動き出した。
「そうだね。
あと、看板も作って戻ってこないと」
三人が穴の開いた橋に目をやると、教会の馬車が橋に向かって近づいてきていた。
「あーー!!
危ないですよーー!!」
必死で手を振る三人に目もくれず、馬車はそのまま橋を渡ろうとしていた。
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