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「今日、アルが一番頑張ってたんですよ。それにアルがいたから私たちはここまで来れたんです。なのに、ひとり置いて帰るなんてあんまりです!」
涙を含んだ声が氷の部屋に響く。
「置いていくなんて……絶対……だめです……」
ふぅと息を吐いて立ち上がるガイアの代わりに、ローザが私の顔を覗き込んだ。
「レナがやることはさ、アルが助けてくれた命を大事にすることだよ。実家のためにお金がほしかったんでしょ? だったら早く届けてあげないと。それにアルの分までもらえることに」
「アルの分なんていりません!」
睨みつけていると、ガイアと同じような困った顔をした。
「思い出したぞ!」
右手に酒瓶をぶら下げ、左手で魔法の杖をぶんぶんと回しながら、ダノン爺さんが近づいてきた。
「ほんとですか!?」
「ああ。復活の魔法は古代魔法の中でも容易に使うでないと言われておってな。最後に使ったのもかれこれ30年近く前じゃったからすっかり忘れとった」
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