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酒瓶を口に運び、のどを鳴らす。
「ここの氷で割った酒を飲んどったら頭に浮かんできたわい。ぐえっぷ」
もろに受け鼻をつまむガイア。
「ジジイ、大丈夫なのか」
「まかせとけ。ほら、どいたどいた」
ローザとガイアを脇に避け、アルの傍に立つダノン爺さん。
酒瓶と魔法の杖を持ったままの両手を真上に高々とあげる。
「実りの秋を紡ぐ大地の7つの神、ここに生を蘇らさん」
ダノン爺さんの「ことば」に呼応し、手の先に白い輝きが灯り始めた。
「我、ここに汝らの名前を刻む。ハギ! オバナ! クズ!」
輝きはさらに増し、氷に反射して部屋全体がきらめいていく。
「ナデシコ! オミナエシ! フジバカマ!」
ダノン爺さんを包み込むまでに成長した光の玉から、一筋の縄のような白光がアルの身体へと伸びていく。
「すごい……」
感嘆を漏らすローザ。
「うぉぉぉぉぉ……キョウチクトゥ!」
老体から発せられたとは思えない叫び声が響き渡った。
途端。
アルの身体に触れようとしていた白光がぴたりと動きを止めた。
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