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『実際燃えてないし、クマ』
『笑わないでよー、本気で悩んでるのに!』
八重歯を見せてケラケラ笑う彼女に反論はしたけれど、反面、カオリの態度は有難かった。いつも通りの彼女のお陰で、ずいぶん気が和らいだ。
やっと目を向けることのできた先で、クマの背中が哀愁を放っていた。そうして見ると、何か訴えかけているようにも思える。
『…心残りを晴らしてあげたら…成仏?してくれる…かなぁ』
そうして私たちは、テディベアの"不完全燃焼"を解消するべく、頭を捻ることになった。
半信半疑だったけれど、とりあえず思い当たることを試してみて、アロマキャンドル用に持っていたライターで様子を見ることにした。
可愛いもの好きの私がクマを火で炙るのに抵抗がないか、カオリは心配していたけど、神社でもっと大きな炎に何度も焚べていたので、その時はとっくに感覚が麻痺していた。
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