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まず、名前をつけることにした。
彼と交際中は"くまだくん"と仮で呼んでいたけれど、別れて以降は呼びかけることもなくなり、きちんとした名前をつけていなかった。
『今までごめんね、ありがとう。さよなら、クマコちゃん』
恐る恐る対面し円い瞳を見つめて、そう挨拶し頭を下げる。 正面でライターを構えるカオリが『クマコちゃん…』と震える声で復唱しながら笑いを堪えきれていないのは、見なかったことにした。
恐る恐る顔を上げると、撥水ならぬ撥火の加工でもされたみたいに、クマコが火を弾いていた。
『…燃えないね』
『クマコが嫌なんじゃないの、だせーから』
『ひどい!』
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