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1.修学旅行の希望調査
来月修学旅行ということで、最終の希望調査があった。アリスは既に参加するということで提出済みだったが、レイラのことが気になって聞いてみた。
「レイラ、修学旅行どうすんの?」
「私?家族は行けと言うんだけど、やっぱ車椅子だしね。迷惑かけそうだからやめようと思うんだよね。アリスは行ってきてよ」
「何言ってんの!?一緒に行こうよ!大丈夫。私がずっとついててあげるよ?レイラがいないと楽しくないよ!」
アリスはいつになく大きな声でそう言った。
「う~ん…。そうねぇ…」
「一条のご両親は、行って来いと言ってるんでしょ?なら行こうよ?レイラ」
「わかったわよ、アリス。もう…甘えん坊さんなんだから…」
と口では言ったが、レイラは内心とても嬉しかった…。
レイラは家に帰ってから、
「お義母さん、私、修学旅行に行きたいです」
と素直に言った。
「そっか。やっと甘えてくれたわね。アリスちゃんの影響でしょ?」
「うん。やっぱわかる?」
「わかるわよ。アリスちゃんみたいなお友達は、一生大切になさい」
「うん…そうするわ」
「じゃあ、先生の方には私から書類を渡しておきますね。ご挨拶もしておきたいし」
「お願いします」
「レイラはもっともっと甘えていいんですよ?瑞稀なんて気にしなくても」
瑞稀はそれを聞きかじって、
「あらー、私がワガママ娘になってんじゃん。ウフフ…」
と笑いながら話した。一条家はとても明るかった。
(こんな風に笑えるようになったのも、アリスちゃんのおかげよね)
と美稀は思った。
小学2年生からのレイラへのイジメと転校は、家族にとってもとても辛いことが多かったからだった。今の学校でアリスちゃんと出会わなかったら、いったいレイラや私達はどうなっていたんだろう…。と美稀は思いをはせた。
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