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「田澤 響~~いる?」
突然、扉が開けられると男子がひょっこり顔を覗かせた。高校2年 隣のクラスの金本 博人だ。隣人の彼とは、幼稚園年中からの幼なじみ、僕に手を振ると女子から奇声を上げられ台拭きや何やと投げつけられた。
「男子禁制!!金本君出てって~~~」
「えっ、ちょっ、響だって……」
「ちょっと、みんな…そこまでしなくても」
「分かった分かったから~~。じゃ響、いつもの公園で待ってる」
困り果てた顔をした博人は、僕に手を上げ扉を閉めた。
「もう、響くん。博人君が来るなら早く言ってもらわないと困るぅ」
おしゃべりな彼女らは、尋ねる前からその理由を話してくれる。
「バレンタインデー、博人君に渡すのよね!恵」
恵は、顔を真っ赤にして俯いていた。中学から秘めていた恋心、高校生活は後1年しかないのにと囃し立てられ告白する事になったらしい。
僕が博人の友達だと知ると 金本君って彼女はいるの?とか好みのタイプは?とか質問攻めにされた。タジタジになりながら「そんな話はしないから分からない」と答える。
「じゃあ、明日放課後、総合図書館に呼び出してよ」
「えーいやだよ。そんなのは自分たちで……」
「「「「「え~~~、お願い~~響くん~~」」」」」
無理だ。5人の女子に囲まれお願いされたら、逃げることさえ出来ない。
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