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お菓子作りが終わると、公園で待っていた博人と合流した。
サッカーチームの練習に出ていた博人は、上下白のユニフォーム姿。ネットに入ったボールをポンポンと蹴りながら歩いてる。ゴールキーパーの彼を応援するために幾度も試合を見に行ったけど、果敢にボールに飛び込んで行く様はいつ見ても惚れ惚れする。
「響、女の子にモテモテだな~~」
「違うよ……お菓子作りを教えてただけ」
「本当に好きなんだな。あ~いい匂いだった。なんかお腹空いてきた」
「博人の分、あるけど食べる?」
「もちろん!」
ペーパーバッグからお手拭きを出し、お菓子箱を出してふたを開けた。これは、博人にあげるために準備したチョコ入りのカップケーキだ。上には、彼が飼っているヨークシャーテリアの”モカ”の顔を珈琲クリームやチョコチップで作り、果実を混ぜ込んだ苺クリームでリボンのように飾りつけてみた。
「うまそう~~これはモカだろう?食べるぞ許せ~」
博人はパクリと頬張ると「美味しい~」と悶えている。
「よかった」
太陽の光が彼の彫りの深い顔を輝かせている。博人の幸せな表情を見ているだけで幸せになってゆく。僕を真っすぐに見つめ「響が作るお菓子は最高だ」と笑顔で言われると、胸がキュッと絞られるように苦しくなった。
僕は、博人の事が好き。
そんな気持ちをずっとひた隠しにして、彼とは親友として過ごしている。
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