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闇の神さまはこうして、一部の魔族たちの求めに応じてようやく彼らの王となりましたが、地底は広いので、まだまだ各地には争いを続けている魔族の集落がたくさんありました。
ですから闇の神さまはすべての魔族たちを統一するために、最初の家臣たち9名と、長らく地底じゅうを旅してまわったのです。
地底世界は、細長いトンネルが続く世界(三途の河のあたり)にはじまり、
・だだっ広い空洞になった場所(今の都のあたり)、
・得体のしれない生物がいる森や沼(幻獣界や魔獣界、幻霧界、腐樹界)、
・怒れる大火山と溶岩の赫い河(炎獄界)、
・奥地には青い鍾乳石に囲まれた氷の湖(氷獣界)など、ほかにもさまざまな気候や風景があることがわかりました。
魔族たちと過ごし、さまざまな景色を知るにつれ、闇の神さまもだんだんとこの世界のことを「悪くない」と思うようになっていきました。
闇の神さまは配下の9人の魔族の氏長に、それらの土地を分配し治めさせることにしました。そして、冥界のまん中あたりの広大な場所に、大きな都市を造らせました。
その間にもどんどんやってくる人間界からの死者で、冥界はあふれていました。闇の神さまは死者の霊魂を「罪が重いもの」「罪が軽いもの」に選り分けて、それぞれ役を与え働かせることにしました。都と、冥王さまの宮殿を作るにはたくさんの人足が必要でしたから、それに充てることにしました。数年の役を終えた霊魂はまた地上界へ行き、人間に生まれ変わるのです。死者は人間界からつねにやってきて尽きることがなく、おしゃべりもせず文句を言わないので、都とお城を造らせるには最適でした。
いっぽうで、更生する余地のない重罪人の魂は、奈落とよばれる黒い深穴に投げ入れることにしました。奈落は冥界の奥地にぽっかり空いた黒穴で、吸い込まれると抜け出せない亜空間への片道通路のようでしたから、重罪人の魂を消却してしまうのにぴったりでした。
こうしてできたのが地下世界の王都である「冥府」と、冥王宮です。
闇の神さまは地底の全土を統一する冥王と呼ばれ、ティアーナ女神さまは王妃さま、または妃神さまと呼ばれるようになりました。
冥王さまは、忠誠のご褒美として魔族たちに、神に準ずる長寿をお授けになり、魔族はそのあたりから争うのをやめ文化的に栄えてゆきました。
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