公爵令嬢・オブ・ジ・デッド

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 シャーロットは男爵家養子。だがそれ以前の素性は不明。  そしてシャーロットの周囲に集まる人員は男爵や子爵、平民とその身分相応だが身領地がバラバラでキナ臭く思われた。男爵家や子爵家などその周辺の貴族家と社交を行うのが精々だ。通常、遠くの領土と繋がる必要も資力もない。  だからその背後関係について更なる調査を行った。  しかし調査は様々な妨害にあい、進捗は捗々(はかばか)しくなかった。  何かがギリギリだったのだろう。調査が奴らの尻尾を掴みかけていたのか、私が卒業と同時に王子と正式に結婚する予定だったからか。あるいは両方か。  おそらく何らかの時間的制約が迫っていたのだろう。そう思うほど私と私の家族の公な暗殺は極めて乱暴だった。公爵家を廃して全員を処刑するなどたった5日で行えるべくもない。  けれども全員殺してしまえば後から異は唱える者はない。唱えられない。周到だ。  すると畢竟、私の行為は間に合わなかった点を除き正しきことをなしたのだ。それにこれ以上のことは不可能だった。致し方ない。  私も、私の家族も王家のために存在する。常々そう自認して役目を果たした。だからよい。死んだ以上、どうしようもない。心残りはあるがあとはゆっくり眠ればいい。  そう思った私の思念は唐突に止まり、収斂(しゅうれん)し、何かの光に包まれた。
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