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「馬鹿だな、これだけ暴走しておいて、赦す者など、誰一人、いないんだよ！」
唯は怒鳴った。
「わたしに、なにをする気なの？」
青ざめた顔で女が尋ねた。
「決まっている。地獄へ送ってやるのさ」
唯は言いながら刀を抜いて構えた。
「黙って殺されるもんですか！」
女は大袈裟な動きで、手にしていた包丁を繰り出してきた。
「素人だな、当然か」
唯は冷ややかな嘲笑を浮かべながら、それを右腕に受けた。鮮血が腕を伝う。
「躱しもしないで、なんでそんな顔をしていられるのよ？ 痛いはずでしょうに」
「これくらいの痛み、大したことはない」
「なんですって……！」
女は唯の言葉に驚きを隠せない。
それしか言えなくなっている女を一瞥しながら、包丁を握っている女の右手首をつかんで捻った。
女は痛みに耐えられず、包丁から手を離した。
手首から手を離すと、女が睨みつけてきた。
それを見て見ぬフリをして、唯は刀を床に突き立て、刺さった包丁を一息に抜いてしまった。
「……」
女は目の前でなにが起こったのかまるで分からず、動揺した。
こいつはいったいなんだ？ と顔に書いてあった。
右腕からはとめどなく鮮血が溢れ出し、床を汚していく。
それを分かっていながら、唯は刀の柄を握って、斬撃を放った。
二度と動かない女の左腕が宙を舞い、落ちた。
「いやああっ！」
女は激しい痛みに叫んだ。
唯はうるさそうに顔をしかめた。
――いつ聞いても、悲鳴は聞き慣れん。
舌打ちをしながら、唯は鮮血の滴る刀で突きを放ち、女の喉を刺し貫いた。
刀を引き抜いた。
女は声が出せないことに気づいて、茫然とする。
「うるさいからな。黙らせた」
気怠そうに唯が言った。
女は嫌だというように、首を横に振り始めた。
「貴様の意思など、どうでもいいんだよ」
唯は怒気を孕んだ低い声で言い放つと、腹を刺し貫いた。
無造作に刀を引き抜くと、鮮血が溢れ出した。
女は蹲ることしかできなかった。
刀についた鮮血を殺ぎ落として、鞘に仕舞った。
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