プロローグ 出会い

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プロローグ 出会い

 ここは、現代日本の東京。人間ではないなにかがいる。そして〝折り合い人〟という名。  そのふたつが実際のところは不明だが、なにかと囁かれている。噂話として――。  雨が降る中、入り組んだ路地を必死の形相で逃げる、二人の男がいる。彼らは後方から歩いてくる誰かから逃げようとしているようだ。男達は袋小路に入ったために、元の道に戻ろうとしたが、ゆく手を阻むように、何者かが、唯一の出入り口を塞いだ。  ――いや、誘導されたのか? なんとしても、逃げなくては!  男達はその場にいたリュックを背負った小柄な男を、恐怖を運んできた人物に向かって、突き飛ばした。 「時間稼ぎにはなる! 殺せれば、誰でもいいんだろ!」  その人物は、片腕で男を受け止めると立たせた。  突き飛ばされた男は、その人物が男であることと、ベネチアンマスクだろうか、目元を覆う黒の仮面をつけている。銀色の目をしていて、黒ずくめの恰好(かっこう)をしていることに気づいた。  そして、立たせてもらったことでもうひとつの気づきがあった。  その男は柄と鍔が銀色で、艶やかな黒の刀身の武器を手にしていた。日本刀のようにも見える。雨に濡れているからか、とても美しい。 「……そんなわけがないだろう」  彼は低い声で言い放つと、二人の男の腕を斬った。 「ぎゃああ!」  すかさず、彼は彼らの喉を突き刺して、黙らせた。
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