裕太のきもち

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裕太のきもち

僕は、お隣の翔くんが大好きだ。 友達の、パパとキャッチボールをする絵日記が羨ましかった。 翔くんと公園でサッカーをした時、すごく楽しくてすごく嬉しくて、絵日記に書きたかった。 でも、翔くんはパパじゃないからダメだって、先生に言われた。 書いても、翔くんとの絵日記なんて、母ちゃんを困らせたかもしれない…。 見せられない絵日記になる所だった…。 母ちゃんが倒れた時、電話しなきゃって1番に浮かんだのが翔くんだった。 泣いてる僕に、走って家に帰りながら、電話を切らずにずっと話しかけてくれた。 それに、僕が心細い時は、いつも抱きしめてくれるんだ。 仕事をする翔くんは、すごくカッコいいんだよ〜! …また見れないかなぁ…。 最近、土曜日の夕飯を3人で食べてる。 すごく嬉しい! 3人でいると、あっという間に時間が過ぎちゃうんだ。 内緒の話だけどね、いつも僕がソファで寝ちゃうと、翔くんが抱っこしてベットに運んでくれるの。 …実は、たまに起きてるんだ。 抱っこが嬉しくて思わず寝たふりしちゃうの。 その後必ず、母ちゃんと翔くんは、二人で僕を見ながら僕の話をするんだ。 二人とも、すごく嬉しそうな声でさ。 その声を聞くと、幸せな気持ちで眠れるんだ。 翔くんが嬉しくなること…、無いかな? 明日は、クリスマス! 母ちゃんにもプレゼントしたいな。 翔くんにもあげたいな…。 翔くんの友達のふうちゃんに言われたこと考えた。 「まぁ、おまえに翔はまかせた」 って、最後に言ってたっけ…。 任せられてもなぁ…、どうしよう…。 あと、さっきマンションの前で会った…、僕のパパ…。 あの人が言ってた事…。 僕、どうしたらいいのかなぁ…。 どうしたら、大好きなみんなが嬉しくなれるのかなぁ…。 答えが出ないまま、裕太の夜も過ぎていった…。
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