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母ちゃんには言えない
僕の隣の家の翔くんは、とてもいい奴だ。
最初会った時は、冷たい人だと思ったけど、トイレを貸してくれた時、一緒にゲームしてくれて楽しかった。
もっと仲良くなりたいのに、母ちゃんには『迷惑かけちゃ駄目よ』と言われてしまった。
翔くんと遊べないのは寂しかったけど、母ちゃんを困らせたくなくて我慢することにしたんだ。
そしたら、前に僕が朝7時半のバスで学校へ行くことを話したからか、翔くんも朝7時半前に同じエレベーターに乗って仕事へ行ってくれるようになってたんだ!
嬉しい! すごく嬉しい!
朝少ししかお話できないのが寂しくて、思わず遊べる日を聞いたら、『土曜日なら良いよ』と言ってもらえた!
土曜日なら、母ちゃんが15時まで仕事だからバレない!
母ちゃんに内緒にすることは、ちょっと後ろめたい…。
翔くんにも、『遊ぶ事、母ちゃんにちゃんと話しとけよ』って言われてたけど…。
しょうがないよね…。
だって、僕、翔くんと遊びたいんだもん…。
だからね、土曜日の朝はね、『母ちゃん、ごめん!』って心の中で思いながら、仕事に行く母ちゃんを見送ってるんだ。
ずっとは内緒にできないと思うけど…。
母ちゃんの困った顔は見たくないんだ。
ん…。 どうしたらいいんだろう…。
生まれて初めての、由依に内緒の出来事に、裕太はどうすればいいかわからないまま、月日だけが過ぎていった。
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