3.誰も知らない、私以外は

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「羽奏ちゃん、体はどこも辛くない」 「……はい……」 「そう、良かったわ。今はとても大事な時期だもの」 「ありがとうございます」 「やだわ、もう私たち、家族になるのよ。こう言う時は頼ってくれなきゃ、ね」 「家族……」 「そうよ。だって、あなたは私の孫を産んでくれるんでしょう?」 はいそうです。 私は、あなたが 人工授精で作った 男の子の種で作られた 子供がいます。 その男の子を作った種は 私の種と同じ男から 作られたんです。 言ってやりたかった。 ぶちまけたかった。 でも、言えなかった。 この女の人の 女神のような微笑みが 悪魔のように歪むのを 見たくなかったから。
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