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おねがい、刀馬くん。
話したい。
あなたの声が聞きたい。
おねがい、早く返事ちょうだい。
「ああっ……そこそこ!もっと……!真司さん……!」
母親の、獣のような気味が悪い声が
耳に突き刺さる。
私は両耳で塞ぎながら
スマホばかり見ている。
「んんっ……真司さん、真司さん……!」
まだ、彼からの連絡が来てくれない。
「はぁ……はぁ…………ああー!!」
まだ、来ない。
ぎしぎしと、ベッドの軋む音が
まもなくあの瞬間がくることを
告げている。
「いい……?加菜子ちゃん……イクよ……」
「きてー!早くきて!!」
気持ち悪い。
そんな声、刀馬くんの以外
聞きたくない。
耳をしっかり塞いでるはずなのに
どうして言葉が入ってくるのか
意味がわからない。
私は、もっと音を聞こえなくしようと
耳栓を作ろうと一瞬手を離した。
その時、聞こえてきた。
「また、僕の子供産んでくれるの?」
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